研究実績の概要 |
哺乳類ゲノムの転写開始点付近に多く存在するCpGアイランド (CGI)は、エピジェネティック修飾のプラットフォームとして寄与して遺伝子発現制御を担っている。しかしながら、CGIを読み取り、エピジェネティック修飾を適切に導入する機構は不明な点が多い。とりわけ、転写抑制するクロマチン制御複合体であるポリコーム群の標的特異性の決定について本研究ではメカニズムを解析していく。CGIを認識するCXXCドメインを含有するKDM2Bは、マウスES細胞においてCXXCドメインを介してほぼ全てのCGIに結合し、相互作用因子であるポリコーム転写抑制複合体PRC1.1の構成因子RING1B, BCOR, PCGF1を特定のCGI (PcG (+) CGI)にリクルートする。KDM2B-PRC1.1はH2AubをCGIに導入し転写抑制を行う。一方で、興味深い事に約80%のCGIは、KDM2Bが存在するにも拘らず、PRC1.1の結合しないCGI (PcG (-) CGI)として存在する。申請者の予備実験から、PRC1.1の持つユビキチンリガーゼ活性とプロテアソームによる分解メカニズムをCGIに導引するか否かによって、PRC1.1のCGIへの結合が決定されることが示唆されている。本研究課題では、KDM2Bが選択的に20%のCGIにPRC1.1をリクルートするメカニズム、一方で残りの80%のCGIからPRC1.1を排除するメカニズムを解析し、CGIエピゲノム制御のメカニズムを解明することを目指す。
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