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2019 年度 実施状況報告書

強力な直接遺伝学を駆使して微生物走性システムの全貌を見る

研究課題

研究課題/領域番号 19K06627
研究機関名古屋大学

研究代表者

井原 邦夫  名古屋大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (90223297)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード次世代シーケンス / トランスポゼース / 磁気ビーズ / ゲノム解析 / ハイスループット化 / 微生物 / 変異
研究実績の概要

これまで利用してきたトランスポゼースTn5を使用して簡単にゲノムライブラリーを構築する方法には、DNAの種類によるバイアスとDNAとトランスポゼースのモル比を正確に決めて実験を行わないと、サンプル間でライブラリーサイズが大きくばらつくというデメリットがあった。大規模変異体を作成、ゲノム解析を行う前に、トランスポゼースとアダプターの複合体(シナプティック複合体)を磁気ビーズ上に固定して2次元表面上でDNAと反応させる方法で、バイアスの問題もタンパク/DNAの量比の問題も解決できることが報告されていたので、現在行っている溶液系のシステムを固相系システムに変えることを試みた。市販されている固定化トランスポゼースを使用して、独自の方法を工夫することで、迅速に再現性良くあらゆるDNA (ゲノムDNA, プラスミド、PCR断片等)に対して、100~1000kb程度の挿入を持ったライブラリーを作成する手法を確立した。いくつかのラン藻から抽出したゲノムDNAでライブラリーができないというトラブルもバッファー系を工夫することで改善できた。また、大量に変異体を作成後、培養ーDNA抽出のラインを効率化する必要があり、ディープウエルプレートを使用した振盪培養による培養と、プレート遠心機、ディープウエルプレートのママで使用できるマグネティットプレートの作成を行ない、プラスミド調製のような感覚で96サンプル単位でゲノムDNAを取り出すシステムを構築した。
現在、UV変異とEMS変異によってランダム変異を導入した好塩菌(Natronomonas pharaonis)に対して、プレート単位で培養し、一部を冷蔵(-80℃)保存して、ゲノムライブラリーを作成し、ゲノムシーケンスを行っているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本来は、ライブラリー作成段階の効率化は行わずに、溶液系のタグメンテーション反応で進める予定であったが、ラン藻ゲノムDNAからのライブラリー作成効率が非常に悪かったことと、ライブラリーサイズを絞り込む作業を簡便化する方法を見直して、ゲノムライブラリーを大量に処理する方法が構築できた。この作業分だけ、Vibrio並びに好塩菌の変異体ライブラリー作成作業に遅れが生じたが、ライブラリー作成作業の効率化ほぼ予定通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

当初の予定通り、真核生物と古細菌の変異体を大量に作成し、そのゲノム構造を決める作業を続けると同時に、保存した変異体を使った走性の変異体スクリーニングを行う。スクリーニング方法に工夫を加えることで様々な表現型(システム)に対応できる変異体リソースを目指し、リソースの保存方法にも注意を払うと同時にリソースのデータベース構築の方向も視野に入れる。変異体作成に関しては、変異体作成方法と実際にシーケンスで同定された変異の種類、数の相関、あるいは表現型と変異の入りやすさの相関などをまとめる。走性の効率的なスクリーニング系として、効率的スワームモニターシステムを作りハイスループット作業の効率化をすすめる。遺伝子ごとの特定は後回しにして、あくまでシステム全体の変異部位マップ作りを優先してすすめ、必要ならばトランスクリプトーム解析を併用する。MariaDB+PHPを利用したデータベースを構築する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響で、納品予定物品が遅れ、次年度に持ち越された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] <i>gas1</i> mutation extends chronological lifespan via Pmk1 and Sty1 MAPKs in <i>Schizosaccharomyces pombe</i>.2020

    • 著者名/発表者名
      Imai Y, Shimasaki T, Enokimura C, Ohtsuka H, Tsubouchi S, Ihara K, Aiba H.
    • 雑誌名

      Biosci Biotechnol Biochem.

      巻: 84 ページ: 330-337

    • DOI

      10.1080/09168451.2019.1676695

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The mechanosensitive channel YbdG from <i>Escherichia coli</i> has a role in adaptation to osmotic up-shock.2019

    • 著者名/発表者名
      Amemiya S, Toyoda H, Kimura M, Saito H, Kobayashi H, Ihara K, Kamagata K, Kawabata R, Kato S, Nakashimada Y, Furuta T, Hamamoto S, Uozumi N.
    • 雑誌名

      J Biol Chem.

      巻: 294 ページ: 12281-12292

    • DOI

      10.1074/jbc.RA118.007340

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Obesity and mental health improvement following nutritional education focusing on gut microbiota2019

    • 著者名/発表者名
      Uemura M, Hayashi F, Ishioka K, Ihara K, Yasuda K, Okazaki K, Omata J, Suzutani T, Hirakawa Y, Chiang C, Aoyama A, Ohira T.
    • 雑誌名

      Eur J Nutr.

      巻: 58 ページ: 3291-3302

    • DOI

      10.1007/s00394-018-1873-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cholecystokinin induces crowing in chickens.2019

    • 著者名/発表者名
      Shimmura T, Tamura M, Ohashi S, Sasaki A, Yamanaka T, Nakao N, Ihara K, Okamura S, Yoshimura T.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 9 ページ: 3978

    • DOI

      10.1038/s41598-019-40746-9

    • 査読あり
  • [学会発表] 微生物ゲノムライブラリーを手軽で格安に作る -1コインゲノム解析を目指して2020

    • 著者名/発表者名
      井原邦夫、上坂一馬
    • 学会等名
      第14回 微生物ゲノム学会

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公開日: 2021-01-27  

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