研究課題/領域番号 |
19K06635
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 宏明 京都大学, 医学研究科, 助教 (90738006)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 直鎖状ユビキチン鎖 / 細胞死 / OTULIN |
研究実績の概要 |
直鎖状ポリユビキチン鎖(直鎖)を特異的に生成するLUBACユビキチンリガーゼは直鎖生成の活性中心を有するHOIP、アクセサリー分子であるHOIL-1L、SHARPINの三者複合体からなり、TNF-aなどの様々な刺激依存的なNF-kB活性化、細胞死抑制に関与する。これまでにHOIL-1Lにも存在するユビキチンリガーゼ活性を消失させると、驚いたことにLUBACの直鎖活性が亢進し、細胞死が顕著に抑制されることを見出している。一方で、直鎖を特異的に切断する脱ユビキチン化酵素OTULIN欠損細胞では細胞内の直鎖量は亢進するものの、予想に反して細胞死が亢進した。これらの結果は細胞内の直鎖量により細胞の生存・死が決定されるのではなく、両細胞で直鎖化される基質が異なり、それにより細胞の運命が決定されることを示唆していた。前年度までにHOIL-1Lユビキチンリガーゼ活性により、LUBACが直鎖化されリガーゼ活性が抑制される機構を明らかにし、投稿した論文がNature cell biologyにアクセプトされた。 本年度はOTULINの解析をさらに進行させた。OTULINに変異を持つ新規患者からiPS細胞を樹立した。さらに、iPS細胞からTNF- aなどで刺激することができる細胞へと分化を行い、患者細胞の解析を行った。その結果、患者細胞では細胞内の直鎖量は亢進するものの、LUBAC自身の直鎖化も亢進し、その結果、細胞死が亢進することを見出している。今後、LUBACの直鎖化が何故、LUBAC機能を抑制につながるのか詳細な解析を進行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HOIL-1LによるLUBACの活性抑制機構を明らかにし、Nature cell biologyに論文がアクセプトされた。また新規OTULIN変異患者細胞での解析を通し、LUBACの直鎖化の亢進、その結果細胞死が亢進することを見出し、LUBAC自身の直鎖化の重要性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
OTULIN変異患者細胞ではLUBACの直鎖化が亢進し、その結果、細胞死が亢進することを見出している。今後、LUBACの直鎖化がLUBACの機能を抑制するメカニズムを探索する予定である。またOTULINの新規患者の変異では、他のOTULINに変異を持つ患者と異なる点がいくつかあるので、その点に着目し論文化を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
OTULINの新規変異患者での細胞の樹立、解析に加え論文化をすすめるために次年度に使用する。
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