直鎖状ポリユビキチン鎖(直鎖)を特異的に生成するLUBACユビキチンリガーゼは直鎖生成の活性中心を有するHOIP、アクセサリー分子であるHOIL-1L、SHARPINの三者複合体からなり、刺激依存的なNF-kB活性化、細胞死の抑制に関与します。これまでHOIL-1Lにも存在するユビキチンリガーゼ活性を消失させると、LUBACの直鎖活性が亢進し、細胞死が顕著に抑制されることを見出していました。一方で、直鎖を特異的に切断する脱ユビキチン化酵素OTULINを欠損させた細胞では細胞内の直鎖量は亢進するものの、予想に反して細胞死が亢進することを見出しています。これらの結果は細胞内の直鎖量により細胞の生存・死が決定されるのではなく、両細胞で直鎖化される基質が異なり、それにより細胞の運命が決定されることを示唆していました。本研究ではそのメカニズムを詳細に検討し、HOIL-1LがLUBAC自身をモノユビキチン化することで、その後HOIPによるLUBAC自身の直鎖化が促され、LUBACの機能を抑制することを見出しました。一方でOTULIN欠損細胞においてはLUBACに付加されてしまった直鎖を切断できず、LUBACの直鎖化が亢進することで、機能が抑制されることを見出しました。以上の結果より、HOIL-1Lユビキチンリガーゼ変異、OTULIN欠損細胞でみられる細胞死の違いは、LUBAC自身の直鎖化の状態の違いによるものであることを明らかにしました。現在、OTULINの変異患者さんでも同様のメカニズムが働いているかを含め解析を進行しています。
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