研究課題/領域番号 |
19K06636
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三好 耕 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (90362996)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | G蛋白質共役型受容体 |
研究実績の概要 |
本年度は、セロトニン6型受容体のカルボキシル末端内のCilia Targeting Sequenceを含む領域と結合する蛋白質を探索するために、この領域をBaitとして酵母two-hybridスクリーニングを行った。 Baitの配列をpGBKT7 vectorに挿入し、これをY2H Gold酵母に導入し、酵母内でGAL4 DNA結合ドメインとBaitとの融合蛋白質を発現させた。このY2H Gold酵母と、pGADT7-RecAB vectorに組み込まれたcDNAライブラリーが導入されたY187酵母(GAL4活性化ドメインとライブラリー内の各クローンとの融合蛋白質を発現する)をmatingさせて、X-alpha-Gal(発色酵素基質)とAureobasidin A(抗真菌抗生物質)を含むDouble dropout選択培地に塗布し、出現したDiploidコロニーを更に選択度が高いX-alpha-GalとAureobasidin Aを含むQuadruple dropout培地に移植した(Diploid内で両融合蛋白質が結合すれば、GAL4のDNA結合ドメインと活性化ドメインが近接し、レポーター遺伝子の発現を誘導するため、選択培地で生育可能となる)。 各陽性候補コロニーからpGADT7-RecABプラスミドを抽出し(酵母から一旦プラスミドを抽出し、大腸菌に導入し増殖させ再度抽出)、cDNAの塩基配列を解析し遺伝子を同定するとともに、各pGADT7-RecABプラスミドとpGBKT7-Baitプラスミドを同時にY2H Gold酵母に導入し、X-alpha-Galを含むDouble dropout培地およびX-alpha-GalとAureobasidin Aを含むQuadruple dropout培地で生育させ、陽性候補クローンがコードする蛋白質とBaitとの結合の確認を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
酵母two-hybridスクリーニング系を確立する過程に予想以上の時間を要した。具体的には、陽性対照、陰性対照を用いた予備検討実験において、酵母への導入効率が低かったため、形質転換効率の高いコンピテント酵母を得る工程を繰り返した事などが挙げられる。 また、スクリーニングで想定よりも多くの陽性候補コロニーが出現したため、pGADT7-RecABプラスミドの抽出、塩基配列の解析、陽性・偽陽性を分別するための確認実験にも予想以上の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
酵母を用いた陽性候補クローンがコードする蛋白質とBaitとの結合確認実験の残りを行う。 次に各陽性クローンの遺伝子の翻訳領域を哺乳類細胞用発現ベクターに挿入し、コードする蛋白質(タグ付加)とセロトニン6型受容体(GST融合)との哺乳類培養細胞内での結合を、glutathione Sepharose beadsを用いたプルダウンアッセイにより検証する。 また、各陽性クローンの遺伝子について、ノックアウトhTERT-RPE1細胞株をゲノム編集技術Crispr/Cas9を用いて作製し、セロトニン6型受容体などの1次繊毛への局在がノックアウト細胞株で異常を示すか否かについて検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
酵母を用いた陽性候補クローンがコードする蛋白質とBaitとの結合確認実験の一部を次年度に行うことになり、確認実験に用いる試薬の今年度の購入量が当初の予定より少なかったため、次年度に繰り越す研究費が生じた。 各陽性クローンの遺伝子がコードする蛋白質とセロトニン6型受容体との哺乳類培養細胞内での結合を、プルダウンアッセイにより検証する。また、各陽性クローンの遺伝子について、ノックアウトhTERT-RPE1細胞株を作製し、セロトニン6型受容体などの1次繊毛への局在についてノックアウトの効果を検証する。 これらの実験に必要な試薬、抗体、プラスチック消耗品などの購入のため、物品費を使用する予定である。
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