研究課題/領域番号 |
19K06636
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三好 耕 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (90362996)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | G蛋白質共役型受容体 |
研究実績の概要 |
本年度は、繊毛に局在するG蛋白質共役型受容体の一つであるセロトニン6型受容体のカルボキシル末端内のCilia Targeting Sequenceを含む領域と結合する蛋白質を探索するために行った酵母two-hybridスクリーニングにより得られた陽性候補クローンがコードする蛋白質と、同スクリーニングでBaitとして用いた上述の領域との結合を、酵母への導入とdropout培地での生育により確認する実験の残りを行った。 次に、陽性クローンおよびセロトニン6型受容体のcDNAの翻訳領域にタグ配列を付加したものを哺乳類細胞用発現プラスミドベクターに挿入し、これらをヒト胎児腎細胞由来の培養細胞であるHEK293T細胞に導入し、陽性クローンがコードする蛋白質とセロトニン6型受容体とのHEK293T細胞内での結合を、タグ抗体を用いた免疫沈降法・ウエスタンブロッティング法により検証を進めた。 また、正常2倍体の染色体数を持つヒト網膜色素上皮細胞由来の培養細胞であるhTERT-RPE1細胞に対して、ゲノム編集技術Crispr/Cas9を用いることにより、陽性クローンの遺伝子の機能が破壊されたノックアウト細胞株を作製した。hTERT-RPE1細胞に、陽性クローンの遺伝子のゲノムDNA内標的領域に対応するguide RNA配列やCas9蛋白質などをコードするall-in-one型のプラスミドベクターを導入し、クローン化された各細胞集団のゲノム内標的領域の塩基配列を解析し、非相同末端結合により生じる挿入欠失変異を両アレルに持つクローンをノックアウト細胞株として選抜した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症に対して発出された緊急事態宣言により、約2ヶ月間にわたり実験の中断を余儀なくされた。 このため、陽性クローンがコードする蛋白質とセロトニン6型受容体とのHEK293T細胞内での結合の検証実験などの開始が遅れた。 また、陽性クローン遺伝子のノックアウトhTERT-RPE1細胞株の作製において、フレームシフト変異を両アレルに持つクローンを得ることが困難であり、ゲノムDNA内標的領域を変更して作製工程を繰り返したため、予想以上の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
免疫沈降法・ウエスタンブロッティング法により、陽性クローンがコードする蛋白質とセロトニン6型受容体とのHEK293T細胞内での結合の検証実験の残りを行う。 陽性クローン遺伝子のノックアウトhTERT-RPE1細胞株およびコントロールhTERT-RPE1細胞に、セロトニン6型受容体を含む繊毛局在G蛋白質共役型受容体を発現させ、受容体の繊毛局在の様式を免疫蛍光染色により観察し、ノックアウト細胞・コントロール細胞間で比較する。 これらの実験を通して、G蛋白質共役型受容体の1次繊毛への局在に対する、陽性クローンがコードする蛋白質の関与について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
陽性クローンがコードする蛋白質とセロトニン6型受容体とのHEK293T細胞内での結合の検証実験の一部を次年度に行うことになり、検証実験に用いる試薬などの今年度の購入量が当初の予定より少なかったため、次年度に繰り越す研究費が生じた。 陽性クローン遺伝子のノックアウトhTERT-RPE1細胞株に、セロトニン6型受容体を含む繊毛局在受容体を発現させ、受容体の繊毛局在の様式を免疫蛍光染色により観察する実験などを通して、G蛋白質共役型受容体の繊毛局在に対する陽性クローンがコードする蛋白質の関与について検討する。 これらの実験に必要な試薬、抗体、プラスチック消耗品などの購入のため、物品費を使用する予定である。
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