本研究は、哺乳類における体細胞系列から生殖細胞系列への核内クロマチン高次構造のスイッチング機構の解明を目的とする。 昨年度に行ったインスレータータンパク質およびコヒーシンタンパク質の遺伝子座へGFPレポーターと3XFLAG-HAタグを導入したノックインマウスを利用したChIP-seqからは、特徴のない結合パターンが得られた。これは、以前当研究室で行った、野生型のマウスと内在性のコヒーシンタンパク質及びインスレータータンパク質に対する抗体を用いて行ったChIP-seqの結果とも一致する。更なる検討を行うため、代替手段としてCUT&Tag法を用いて条件検討を行なった。CUT&Tag法には、野生型マウスへのレチノイン酸合成阻害剤及びレチノイン酸の投与により減数分裂遷移期の細胞を同調させ、量的に少ないマテリアルから純度の高い細胞を回収しサンプルとした。条件検討が終了し作製したライブラリを現在次世代シークエンサーにかけているところである。また、本年度はより高解像度の解析を行うために、生殖細胞におけるHi-C法を行う準備を進めた。現在は野生型を用いた予備実験のサンプルを次世代シークエンスにかけているところである。今後は、コヒーシンタンパク質であるRec8もしくはRad21Lノックアウトマウスから体細胞系列から生殖細胞系列へスイッチするタイミングの細胞を調整しHi-Cを行う。これらノックアウトマウス及び野生型におけるHi-Cデータの結果を比較することにより、コヒーシンタンパク質の核内クロマチン高次構造への影響について検討する。
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