研究課題/領域番号 |
19K06652
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山下 和成 順天堂大学, 医学部, 助教 (70589481)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Solo / RhoA-GEF / メカノセンシング / アクチン骨格制御 / 細胞生物学 / メカノバイオロジー |
研究実績の概要 |
シグナル伝達は、液性因子などのシグナル伝達物質が惹起すると考えられてきたが、近年、物理的刺激(メカニカルストレス)によってもシグナル伝達が惹起されて細胞が制御されることが明らかにされており、力覚応答(メカノセンシング)機構の解明が求められている。アクチンとミオシンが作る線維性細胞骨格は、収縮することで細胞の形態変形に働くと同時に、細胞外環境の硬さを認識して増殖・分化を制御する、力覚応答の中核を担う構造である。本課題では、機械刺激による細胞応答に必要であるSoloというタンパク質に着目する。Soloを細胞に発現させるとアクチン骨格が発達した。また、Soloは細胞膜上に顆粒状の興味深い局在をする。顆粒のサイズを考慮すると、Soloは細胞膜上にある何かしらのマイクロドメインのような構造に集積していることが示唆される。この顆粒はアクチン細胞骨格にどのように影響するのだろうか。その性状を明らかにすることを本研究の目的とした。 非特異的ビオチン化酵素BirAをSoloと融合して細胞に安定発現させ、Soloの近傍約20 nmの範囲にある分子をビオチン化によってラベルし、これら分子をストレプトアビジンビーズで精製するBioIDという方法を用いてSolo集積マイクロドメインの構成因子を同定することを試みていた。質量分析により標的タンパク質の同定を行ったところ、あるモータータンパクのファミリー分子の一つを同定することができた。モータータンパクは細胞骨格と関連することが多いので着目に値する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Solo集積マイクロドメインの構成因子を同定するために、非特異的ビオチン化酵素BirAをSoloと融合して培養細胞に発現させ、Soloの近傍約20 nmの範囲にある分子をビオチン化によってラベルし、これら分子をストレプトアビジンビーズで精製するBioIDという方法の実験を行った。タグと融合したSoloを安定発現する培養細胞の作成が完了し、質量分析による標的タンパク質の同定を行ったところ、あるモータータンパクの分子が同定された。Soloはアクチン骨格の制御因子であるので、モータータンパク分子との相互作用は興味深い。Soloの相互作用パートナー候補分子が得られているという状況なので、研究が進展していると言える。今後、この分子の機能解析を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
同定されたタンパク分子がSoloの集積箇所に存在しているかどうかを確認するために、細胞内局在の解析を行う。上述のBioID法により同定されたタンパク分子は、Soloの近傍に存在していたと言えるが、直接あるいは間接的に結合に相互作用をしているかどうかはわからない。これらを検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
BirA-SoloによるBioIDを決行したが、さらに大量培養を行っての大量タンパク精製を行うと、検出精度が上がり、検出される標的タンパクも増えることが予想されるが、この実験ができていない。これらの費用がかかる実験計画は、これから行っていく予定である。
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