研究課題/領域番号 |
19K06653
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大林 典彦 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40421979)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 色素細胞 / 小胞輸送 / 低分子量Gタンパク質 / Arf6 / 樹状突起 |
研究実績の概要 |
メラニンを産生する色素細胞は、樹状突起を伸長させ、隣接するケラチノサイトや毛母細胞とシナプスを形成することで、それらの細胞にメラニンを受け渡し、皮膚や毛髪が暗色化する。皮膚・毛髪の暗色化の包括的理解のため、色素細胞の樹状突起形成における低分子量Gタンパク質Arf6の機能解析を進めている。 これまで、培養色素細胞におけArf6のノックダウンにより、色素細胞活性化状態における樹状突起形成が抑制されることを見出していた。1-メチル-3-イソブチルキサンチン(IBMX)などの様々なホスホジエステラーゼ阻害剤処理による色素細胞内cAMPレベルを上昇させる処理により生じる、色素細胞樹状突起形成伸長が、Arf6ノックダウンによりキャンセルされることを見出した。前年度のフォルスコリンによる結果と併せて考えると、Arf6による色素細胞樹状突起形成には、cAMPにより制御されるシグナルが重要であることを確認した。 また、先行研究により、低分子量Gタンパク質Rab21もまた、cAMP関連シグナルによる色素細胞樹状突起形成に関わることを当グループは見出している。このRab21の細胞内局在について解析したところ、コントロール条件下ではRab21は色素細胞内エンドソームに豊富に局在していたが、Arf6ノックダウンによりRab21の細胞内局在に変化が認められた。 また、Arf6の活性化調節に関わるGAP分子のうち、いくつかのArf6-GAPに着目し、Rabとの相互作用について解析を進めたところ、Rab8、Rab11、Rab35などのエンドソーム系RabがいくつかのArf6-GAPと相互作用することを見出し、今後の色素細胞系における研究進展における糸口を掴んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Arf6による色素細胞樹状突起形成に関わる詳細なメカニズム解明にはまだほど遠いが、周辺の関連分子についてはある程度絞り込めてきているとともに、今後の新たな研究計画立案への足掛かりができた。今後の検討により、研究目的の達成を図りたい。
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今後の研究の推進方策 |
Arf6が関わるシグナルに関する周辺タンパク質の絞り込みができてきたので、これらの分子とArf6との関連性について、活性化色素細胞を用いて明らかにしていく。
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