メダカは人と同じく背骨を持つ脊椎動物であるため、これを用いて寿命や老化のメカニズムを研究することでヒトの寿命を制御する分子メカニズムを明らかにする手がかりを得ることができる。今年度までに、メダカp16遺伝子のクローニング、p16プロモーターを用いた遺伝子改変メダカを作成した。 これまでに多くの種によって、カロリー制限が有意に個体の老化を遅らせ寿命を延長させることが報告されている。本課題ではメダカにおいてもカロリー制限による寿命延長効果が見られるのかを調べるため様々な条件でメダカを飼育し、その寿命の変化を測定しているが、昨年度までに餌を極端に減らしてしまうと、寿命の延長よりも栄養不足の害が強く出てしまい寿命を逆に減らしてしまうことがわかっていた。 本年度ではそれを踏まえてどのような条件が最適であるかを検討した。摂取カロリーによってメダカ寿命がどのように変化するかを調べるため、5つの給餌条件(餌量:少、中、多、活餌、活餌+中)にてメダカを飼育し、経時観察によりメダカ寿命を測定している。現在は観察の途中であるが、現在までですでに、通常の飼育条件よりも多くの餌を与えたものではより早期にメダカが死亡すること、餌を減らしたものではその死亡が遅れることが観察されている。興味深いことに、餌の量による寿命の影響には雌雄差が見られた。すなわち、メスメダカでは餌が非常に多い条件(餌:多)で寿命の低下が顕著であったのに対し、オスメダカでは餌が非常に多い条件のみならず、中程度においても(餌:多、中)早期の死亡が観察された。本研究により、カロリーの多寡のみならず、雌雄差に基づくによる寿命の変化についてもメダカを用いて解析することができるようになったと考えられる。
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