研究課題
シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)について多数の原因遺伝子が同定されているが、それらに共通に関与する遺伝子は、まだ同定されていない。それらの同定と機能解析は新しい診断・治療法の開発に有効である。申請者らは、これまでにCMT原因遺伝子FIG4を標的とするCMTモデルショウジョウバエを用いた遺伝学的スクリーニングを実施し、これらの表現型を抑圧する遺伝子としてHippo遺伝子、長鎖非コードRNAをコードするCR18854遺伝子とエピジェネティック制御遺伝子gpp等を同定していた。そこで本研究では、これらの遺伝子がCMTモデルショウジョウバエの表現型に寄与する仕組みについて明らかにし、また複数のCMT原因遺伝子に共通に関与する遺伝子を同定することを目的とした。2019年度は、CR18854遺伝子をノックダウンしても、FIG4mRNAレベルは変化しないことが明らかになり、FIG4遺伝子はこの長鎖非コードRNAの直接の標的とはなっていないことがわかった。またさらに遺伝学的スクリーニングを進めた結果、他の長鎖非コードRNAをコードするCR43467遺伝子もFIG4遺伝子と遺伝学的相互作用することがわかった。興味深い事に、このCR43467遺伝子はdCOA7、dHADHBやdPDHBなどの他のCMT関連遺伝子と共通に遺伝学的相互作用することも明らかになった。これらの結果は、CMT病態の理解に長鎖非コードRNAに関する情報が不可欠であることを意味する。また他のCMT原因遺伝子SLC25A46とヒストン脱アセチル化酵素遺伝子Rpd3が遺伝学的相互作用することも見出した。Rpd3がヒストンH4K8のアセチル化レベルの制御を通じてSLC25A46の機能を抑制していることを明らかにした。これらの結果は、Rpd3阻害剤がCMT治療薬開発への鍵となることを示唆する。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 7件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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