ミトコンドリア量の異常減少は、ガンや糖尿病、脳卒中などの疾患や老化の過程で起こることが知られている。本研究では、ミトコンドリア不足の状態は、ISRを活性化させ、ミトコンドリア-サイトゾルタンパク質合成のアンバランスを解消させることが明らかになった。ただし、長く続くISRの活性化は、細胞死の誘導や拒食症誘導ホルモンGDF15の放出などを介して、細胞・個体レベルでの悪影響を引き起こすことが知られている。そのため、ミトコンドリア不足の可能性がある上記の疾患群では、ISRの亢進による病態悪化が起こっているかもしれない。本研究成果は、上記疾患群のISRを対象とした治療法の開発に貢献する可能性がある。
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