研究課題/領域番号 |
19K06673
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荻沼 政之 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (50825966)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エネルギー代謝 / ターコイズキリフィッシュ / 胚発生 / ゼブラフィッシュ |
研究実績の概要 |
近年、エネルギー代謝経路が細胞のエネルギー制御に留まらず、種々のシグナル経路、エピジェネティクス因子の機能・活性を制御することで複雑な生命現象を制御することが明らかになった。しかし、多くの代謝研究は癌等の病理学の観点から進められており、胚発生時における代謝の動態、機能はほとんど明らかになっていない。申請者は自身の過去の研究結果から、「エネルギー代謝経路が勾配を形成し「モルフォジェン」同様に組織パターン形成因子として働く」という仮説を考えた。本研究では、エネルギー代謝経路を個体レベルで可視化・定量できるシステムを構築し、その役割を解析することでこの仮説を検証し、発生・栄養代謝研究の新概念構築を目指している。前年度までに、エネルギー代謝経路の代謝物であるATP、NAD+、pHを可視化するレポーターラインの作成を完了し、ゼブラフィッシュ胚における代謝パターンを調べた結果、前後軸に沿った勾配勾配パターンを発見した。さらに、エネルギー代謝経路を制御すると考えられるオートファジー経路をMOによって抑制したゼブラフィッシュ胚を作成した結果、胚の前後極性が異常になることを発見した。つまり、エネルギー代謝勾配はゼブラフィッシュ胚の前後パターンを制御する主要因子であることが分かった。本年度は、エネルギー代謝勾配による組織パターン形成機構が、初期胚だけでなく他の組織、器官形成過程においても普遍的に働くかどうか検討した結果、成体の肝臓や腸管などでもエネルギー代謝が特徴的なパターンを示すことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
<計画1>エネルギー代謝勾配の形成機構の解明 前年度までに作成した、ATP、NAD+、pHを可視化するレポーターラインによってゼブラフィッシュ及びキリフィッシュの様々な組織での代謝パターンを可視化した。 <計画2>エネルギー代謝勾配による位置情報決定機構の解明 エネルギー代謝を遺伝学的に改変する系を開発した。 <計画3>エネルギー代謝勾配によるパターン形成機構の普遍性の検討。 作成した、レポーターラインによってキリフィッシュの成体組織での代謝パターンを発見した。
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今後の研究の推進方策 |
<計画2>エネルギー代謝勾配による位置情報決定機構の解明 当該研究で開発した、エネルギー代謝を遺伝学的に改変する系をを用いて様々な組織形成におけるエネルギー代謝勾配の役割を明らかにする。 <計画3>エネルギー代謝勾配によるパターン形成機構の普遍性の検討。 当該研究で見つかったエネルギー代謝パターンが持つ役割を検討する。特にキリフィッシュの老化過程における代謝パターンの持つ役割を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はコロナウイルス感染の拡大により国内学会への出張予定が無くなったのに加えて、作成したレポーターラインの解析が十分できなかった為、未使用額が生じた。これについては、R3年度に作成したレポーターラインを拡大し、解析する消耗品に使用する予定である。
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