研究課題/領域番号 |
19K06679
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
梅村 康浩 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40612734)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 概日時計 / 個体発生 |
研究実績の概要 |
哺乳類の概日時計中枢は、視交叉上核であるが、全身の細胞に概日時計の遺伝子発現振動があることが明らかにされている(Yagita et al., Science 2001)。これまでの研究から、細胞レベルの概日時計の成立が、個体発生過程よりもかなり遅れて形成されてくることがわかってきた。申請者らは、これまでに、マウス個体発生初期において、概日時計の振動が様々なメカニズムによって抑制されていることを報告してきたが、その生物学的意義については、全く明らかにできていない。これまでに、マウスES細胞やヒトiPS細胞をin vitroで分化させることによって、概日時計の振動が抑制されている時期には、Clock mRNAの転写後抑制が起こっていることを報告した(Umemura et al., PNAS 2017; JBR 2019)。CLOCKタンパク質発現が抑制されていると、概日時計振動の発振を担うCLOCK/BMAL1の転写因子が機能できない。この意義について検討するため、ES細胞において、doxycycline依存的にCLOCK/BMAL1を機能させることができる細胞株の樹立を行なった。その結果、doxycycline依存的に機能的なCLOCK/BMAL1すると、E-boxを介したPerやCryなどのコアの時計遺伝子の発現誘導を起こすことができることがわかった。今後さらに、このES細胞を用いた解析を行なっていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、ES細胞やiPS細胞を用いた解析を中心に行ってきた。ClockとBmal1遺伝子の両方の発現を制御するマウスES細胞株の樹立を行うことができた。今後、この細胞を用いた解析を行なっていく。
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今後の研究の推進方策 |
「発生過程における体内時計の抑制機構の全容解明」を目指し、細胞・組織・個体レベルで階層を超える概日時間創出プログラムの詳細を明らかにすることを目指す。具体的には、発光イメージングや網羅的遺伝子発現解析を中心に、マウスES細胞を用いた、これまでに本研究室で構築してきたin vitro分化誘導系を用いた解析のみならず、新たな分化方法の導入をし、概日時計のin vitro発生評価系構築をし、そのメカニズム解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析に使用するES細胞株の樹立に計画よりも時間を要したため。次年度、ES細胞の分化誘導実験、それらを用いたRNA発現の網羅的な解析、qPCR法による発現遺伝子の確認実験やタンパク質解析に使用する予定である。
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