研究課題/領域番号 |
19K06680
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
酒井 大輔 金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (90632646)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 低酸素シグナル / 抑制性神経発生 |
研究実績の概要 |
今年度は、Hif1αノックアウトマウスで発現変動が認められた遺伝子について、抑制性神経の発生を制御し得るのか解析を行った。 昨年度、国立精神神経センターの井上高良先生、井上由紀子先生にご協力いただきGm10046のノックアウトマウスを作成した。バッククロス が終了し、大脳の凍結切片を用いた組織学的な解析を行った。E18.5におけるGm10046ノックアウトマウスの大脳は、野生型に比べて若干扁平な形態を示していた。抑制性神経のマーカーを用いた免疫染色を行ったが、抑制性神経の顕著な増加は認められなかった。出生直後の大脳においても、抑制性神経の増加は認められなかった。現在、出生後4日、12日の大脳をサンプリングし、免疫染色による解析を進めている。 in utero electroporationを用いたFgf15のLGEでの強制発現を昨年度行ったが、抑制性神経の誘導が認められなかった。その原因として、発現量が低いことが考えられた。そこで、今年度は、発現ベクターをpEF1-BOS ExからpCAGSに変えて発現量が増加するか調べた。培養細胞に発現ベクターを導入し、免疫染色により発現量を確認したところ、有意な増加認められた。このFgf15発現ベクターをLGEに導入したところ、若干ではあるが抑制性神経の誘導が確認された。現在、導入するタイミングと場所を変えることで、より抑制性神経の誘導が強くかかる条件を検討している。同様に、sFlt1による血管形成阻害が強くかかる条件の検討も並行して行なっている。 これまでの結果から、Gm10046やFgf15が他の遺伝子と協調的に機能している可能性が考えられ、より複雑なメカニズムの存在が予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響が未だに続いており、研究活動に様々な制限がかかっている。そのため、研究課題の進捗が遅れ気味になっている。 また、Gm10046とFgf15が抑制性神経の誘導能を有すると推察していたが、あまり強い誘導作用を確認できていない。手技的な原因を排除するために、in utero electroporationによる遺伝子導入について様々な条件検討を行なってきた。そのため、解析に予想よりも多くの時間を費やすこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
Gm10046については、Gm10046ノックアウトマウスの生後脳を用いて、抑制性神経の数の変化を調べる。また、Gm10046ノックアウトマウスにおけるGm10046の発現消失と、野生型におけるGm10046の発現パターンをin situ hybridizationによって調べる。 Fgf15については、in utero electroporationの装置を改良し、これまでのE13より早期の脳に遺伝子導入することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、参加を予定していた多くの学会が開催を見送ったり、大学から出張等の自粛要請があったため、予定していた出張のほとんどが中止となった。また、研究活動にも大きな制限がかかったため、購入予定だった物品のいくつかが購入できなかった。これらの理由により、次年度使用額が生じた。次年度は学会に積極的に参加する。研究活動が遅延しているため、今年度に予定していた論文投稿が次年度に繰り越されそうなので、投稿費用も支出する。
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