これまで鰓下筋の発生過程は、顎口類のいくつかのモデル動物(主にマウス、ニワトリ、ゼブラフィッシュ)で研究されてきたが、前方の体節ごとに細胞運命を追ったものがほとんどである。一方で、種ごとに大きく異なる顎顔面形態との関連や、鰓下筋の可塑性・多様性に迫った研究は例がなかった。 本研究では、寄与する鰓下筋のドメインが体節ごとにあらかじめ決まっているという仮定を取り払い、脱上皮化して体節を離れた筋芽細胞のそれぞれが、周辺の非筋組織との相互作用に応じて分化のタイミングを決めている可能性に注目した。得られた結果から、鰓下筋を構成する筋要素が段階的に付け加わり、複雑化したという進化過程が明らかになった。
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