研究課題/領域番号 |
19K06690
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岩尾 康宏 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (10144916)
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研究分担者 |
上野 秀一 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80363092)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 受精 / 多精拒否 / 発生開始 |
研究実績の概要 |
受精は有性生殖に必須の機構であり、卵と精子の特異的な膜接着・融合が必要である。本研究では、両生類を脊椎動物の受精のモデルシステムとして、雌雄の2倍体ゲノムによる単精発生を保証するしくみ:多精拒否の分子機構を明らかにすることを目的とした。単精受精における電気的な膜接着・融合の制御機構の分子メカニズムを精子上での膜電位センサーと考えられているMatrix metalloproteinase-2 (MMP-2)を欠失した精子を用いて、MMP-2の卵発生開始と卵と精子の膜融合における機能を明らかにすることを計画した。これらにより、脊椎動物の受精成立に必要な普遍的な分子を明らかにし、受精機構の進化を解明できると考えられる。これまでに両生類の単精受精での卵・精子の膜接着・融合の制御による早い電気的多精拒否の分子機構において、精子膜上に正に荷電したMMP-2が分布し、電気的多精拒否に重要であることを解明してきた。MMP-2をもたないネッタイツメガエルをゲノム編集により作成し、受精時の精子の電位感受性がMMP-2によって制御されていることを証明した。とくに精子の卵への侵入すなわち卵細胞膜と精子膜と膜融合もMMP-2 によって制御されていることを証明した。また、MMP-2の生化学的、分子生物学的性質を詳細に検討し、受精における種特異性におけるMMP-2の役割を明らかにすることを試みた。MMP-2の精子での分布を明らかにし、精子膜と卵細胞膜の融合においてMMP-2が誘導する卵内Ca2+イオン濃度の上昇が必要であることを明らかにし、論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ、計画どおりにMMP-2遺伝子を欠失した精子の電位依存性の解析を進めることができたが、新型コロナウィルスの感染防止対策が必要なため、卵側リセプター分子の実験の実施に一部遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに少し遅れている部分の研究を鋭意進めるとともに、研究計画に沿って電気的多精拒否の分子メカニズムの全容を明らかにすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
ネッタイツメガエル精子でのMMP-2分子の卵側リセプターを明らかにする計画であったが、実験の進行が遅れた。また、新型コロナウィルスの感染防止対策が必要なため、発表予定の学会等が延期やオンラインでおこなわれた。これから鋭意実験を遂行するともに、オンサイトでの学会等に参加する予定である。
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