植物の根の継続的な成長は、先端から地上部側に向かって存在するPLTタンパク質の濃度勾配が形成・維持されることで保たれるが、濃度勾配の形成・維持の機構は不明な点が多い。近年申請者はペプチドホルモンRGFとその受容体のペアがPLTタンパク質の濃度勾配を制御することを示したが、情報伝達経路の詳細は不明である。申請者はRGFによるPLTタンパク質の濃度勾配の制御機構の解明のため、PLTタンパク質の濃度勾配を調節する化合物の同定とそのターゲット因子の探索、およびRGF受容体の相互作用因子の探索を行い、各因子の機能解析を通じて、植物の根の継続的な成長のしくみを明らかにすることを目的とし、研究を行っている。 当該年度は、これまでにRGF受容体変異体中で失われたPLTタンパク質の濃度勾配を回復する低分子化合物スクリーニングを行うことで同定した化合物A01およびA05について、構造活性相関解析に基づいて、活性を維持したビオチン誘導体を作製した。シロイヌナズナ根のタンパク質抽出液をサンプルとし、アビジンビーズを用いたプルダウンと、共沈画分のプロテオミクス解析を行いうことで、化合物と特異的に相互作用する因子の同定を試みた。その結果、化合物と相互作用する可能性のあるタンパク質が複数検出され、PLTタンパク質の濃度勾配回復活性のターゲットである可能性が示唆された。
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