研究課題
最終年度に実施した研究の成果本研究では、申請者の研究グループがヒメツリガネゴケを用いた研究から初めて同定したSnRK2上流キナーゼ(ARK)を中心とした浸透圧によるSnRK2活性化機構の分子基盤をシロイヌナズナにおいて解明することを目的とした。2021年度の主な研究成果は以下のとおりである。1)AtARK3とETR1およびERS1がin vivoで小胞体において相互作用することをタバコの葉を用いたBiFC法により確認した。2)酵母ツーハイブリッドシステムを用いて、AtARK3とETR1の相互作用に必要なそれぞれの領域を解析したところ、ヒメツリガネゴケARKとPpHK5との相互作用領域として検出された保存領域を介していることが示された。3)AtARKノックアウト株におけるエチレン応答性を解析したが、明確な応答の変化は検出されなかった。4)AtARKの活性化ループ内のセリンをアスパラギン酸に置換した擬似リン酸化AtARKがSnRK2と相互作用することが示された。このことから、AtARKリン酸化の生物学的意義が明らかとなった。5)AtARKが作物の乾燥耐性を向上させる遺伝子資源として有効化を明らかにするため、AtARKおよび擬似リン酸化AtARKを過剰発現させたシロイヌナズナの作出を行い、解析が可能な状態とした。研究期間全体を通じて実施した研究の成果本研究課題を通じて、ヒメツリガネゴケにおいて見出されたSnRK2上流キナーゼとしてのB3-RAFの機能が被子植物であるシロイヌナズナにおいても保存されていることが明らかとなった。一方、これまでの解析からは、シロイヌナズナB3-RAFの活性制御機構はヒメツリガネゴケと異なっていることが示唆された。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)
Current Biology
巻: 32 ページ: 164-175
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Plant Physiology
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