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2019 年度 実施状況報告書

植物細胞系譜の多様性を生み出す転写ネットワークの分子メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 19K06722
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

白川 一  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70636969)

研究分担者 鳥居 啓子  名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 客員教授 (60506103)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードシロイヌナズナ / 転写制御 / ミロシン細胞 / 孔辺細胞 / 細胞分化 / マスター制御因子
研究実績の概要

本研究では、植物の2つの高度に特殊化した細胞をモデルに、転写因子ネットワークの変換による細胞系譜の進化メカニズムを明らかにする。本研究では、水分蒸散とガス交換に働く表皮の孔辺細胞(気孔)と、生体防御に働くミロシン細胞を扱う。ミロシン細胞はアブラナ科に特異的な細胞で、その液胞にミロシナーゼを蓄積し、忌避物質イソチオシアネートを生成することで生体防御に働く。これまでに、bHLH型転写因子FAMA-SCRM複合体が孔辺細胞とミロシン細胞分化に共通のマスター転写因子であることがわかっている。代表者が新規に同定したFAMA-SCRM複合体の下流標的因子CREAM family遺伝子の解析を行った。はじめに、発現パターンを調べるために、プロモーターGUSラインを作出した。CREAM1, CREAM2は共に孔辺細胞・ミロシン細胞系譜を含む若い葉全体で強く発現していたのに対して、CREAM3は孔辺細胞・ミロシン細胞系譜では発現していなかった。アミノ酸配列はCREAM1, CREAM2がもっとも相同性が高いことからこれらの冗長的に働いていると考えられた。次に、変異体解析を行うためにT-DNA挿入変異体を単離し、掛け合わせにより多重変異体を作出した。これらの変異体を用いて、孔辺細胞の数およびミロシン細胞の分化を定性・定量的に観察した。細胞の分化程度およびレポーター遺伝子の発現レベルに表現型を見いだすことができた。現在は、相補株の作製を進めている。加えて、過剰発現体を作出し、孔辺細胞の数およびミロシン細胞の分化を定性・定量的に観察した。また、CREAMの相互作用因子を解析するためのDNAコンストラクの作成および形質転換体の作成を進めた。研究内容を一部含む学会発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度に計画していた研究をほぼ全て進めることができた。CREAM familyの発現パターンと変異体の表現型が観察できたところは一致しており、過剰発現体の表現型も見え始めている。さらに、次年度に計画している研究の内容の準備もできていることから、本研究は順調に進展していると考えられた。

今後の研究の推進方策

CREAM familyによる細胞分化の制御機構をより明らかにするために、表現型解析、生化学的解析、イメージング解析を進める。これまでの解析から、CREAM familyの発現レベルが極めて低いことが想定されている。蛍光タンパク質とのtranslational fusionラインでは、未だ蛍光の観察に成功していないが、所属研究機関に導入された最新の共焦点顕微鏡で再度観察し、タンパク質の動態を明らかにしたい。また、これまでに観察された変異体の表現型を単独変異体・多重変異体およびそれらの相補ラインで定性・定量的に解析することで、CREAM familyの作用点を明らかにしたい。細胞の特異的マーカー遺伝子の発現・細胞の形態観察に焦点をあて研究を進める。さらに誘導型過剰発現体を用いて、下流遺伝子の発現パターンを網羅的に調べる。

次年度使用額が生じた理由

遺伝学解析とイメージング解析が予想を超えて順調に進んだため、それらに集中して研究を進め、生化学解析は次年度以降にやることにした。この研究計画の部分的な変更により、繰越分が発生した。全体の研究計画に変更はないことから、次年度の生化学解析に繰越分を計上している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Transcriptional Atlas of Idioblast Myrosin Cells; A Factory for the Mustard Oil Bomb2020

    • 著者名/発表者名
      Makoto Shirakawa, Toshiro Ito
    • 学会等名
      第61回日本植物生理学会年会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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