近年,既知の代謝化合物が有する別機能の発見が相次いでおり,特に植物では多様な低分子量の代謝物質が生理機能の調節や活性化に関わっていると推定される。植物生理におけるアラントインの役割が窒素栄養の有効利用に留まらず,ストレス応答の活性化を通じ環境適応にも関わることを示した本研究の成果は,代謝の多機能性の例証を通じ,固着性が故に代謝を機軸として植物が進化させてきた生存戦略の理解に貢献するものである。アラントインは安価で生物分解性に優れたファイトケミカルであり,植物環境応答のケミカルコントロールに適用可能なため,農業生産や作物栽培などへの応用が期待される。
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