脊索動物ホヤ胚は、形態形成の仕組みを個々の細胞レベルで解析するのに適した系の1つである。ホヤのオタマジャクシ幼生が形作られる過程では、胴部と尾部の境界に砂時計型の「くびれ」が形成される。本研究では、マボヤ(Halocynthia roretzi)を用い、「くびれ」形成機構の解析を行った。その結果、将来胴部となる前方の上皮細胞と将来尾部となる後方の上皮細胞が、明瞭な境界を保ちつつ異なった方向に分裂することによって「くびれ」が形成されることが明らかとなった。このような分裂方向の違いによって「くびれ」や「凹み」が形成される仕組みはこれまで報告されておらず、本研究は形作りの新原理を提供するものである。
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