研究課題/領域番号 |
19K06740
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
植木 龍也 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (10274705)
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研究分担者 |
古野 伸明 広島大学, 両生類研究センター, 准教授 (80219120)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ホヤ / 金属イオン / 接着物質 / タンパク質 / 遺伝子発現 / 微細構造 |
研究実績の概要 |
海産無脊椎動物ホヤ類は、(1)海水中で基質に強固に接着するという性質と、(2)血球中に高濃度の金属イオンを蓄積する性質をもつ。血球に蓄積された金属の役割はまったく不明であったが、申請者らは最近の知見にもとづき「ホヤ血球が被嚢の接着面まで金属を運搬し」かつ「金属結合タンパク質が接着に寄与する」のではないかとの学術的な問いを設定した。本研究は3年間の研究期間で、(1)ホヤ被嚢の形成・接着過程における血球移動経路の解明とCa2+イメージング、(2)刺激応答性Ca2+チャネルおよび接着タンパク質のin vitro機能解析、(3)それら遺伝子のin vivo機能破壊解析を実施する計画である。2019年度は主に光学顕微鏡観察、定量的RT-PCR、特異的抗体の作成、発現コンストラクトの作成、組換えタンパク質の合成を行った。光学顕微鏡観察では、被嚢の形成・接着過程におけるV濃縮細胞の移動経路についてタイムラプス記録を行うとともにV特異的な2,2’-bipyridine染色によってV含有細胞の移動の可視化を試みた。定量的RT-PCRでは接着タンパク質候補遺伝子およびバナジウム結合タンパク質遺伝子と細胞質アクチン遺伝子について、卵形成および初期発生、変態、幼若個体、成体組織における転写産物の発現量の変動を明らかにした。接着タンパク質候補遺伝子を特異的に認識する抗体を作成し、ウェスタンブロットおよび免疫染色によって被嚢突起および接着面における局在を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。光学顕微鏡観察、定量的RT-PCR、特異的抗体の作成、発現コンストラクトの作成、組換えタンパク質の合成について予定通り行った。TALENコンストラクトの代わりにより効率的な手法としてsiRNAコンストラクトを作成した。電子顕微鏡観察は次年度開始とした。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ホヤ被嚢の形成・接着過程における血球の観察、(2)ホヤ被嚢の形成過程における血球のCa2+イメージング、(3)遺伝子・タンパク質の発現部位の解析、(4)3つの刺激応答性Ca2+チャネルのin vitro機能解析、(5)接着タンパク質候補分子のin vitro機能解析、(6)遺伝子破壊ホヤの作出によるin vivo機能解析の6項目を、ほぼ当初予定通り進行する。特に変更点はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定通り研究計画が進行したが消耗品の購入額などにより若干の余剰が生じた。余剰額は次年度の消耗品費と合算して使用する。それ以外の費目は変更なし。
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