研究課題
無脊椎動物の生殖制御機構を分子レベルで解明することを目的として、本研究では、ヒトデのゴナドトロピン様活性物質、リラキシン様生殖腺刺激ペプチド (relaxin-like gonad-stimulating peptide, RGP)に注目し、(1) RGPとその受容体との相互作用、および (2) 放卵(放精)のメカニズムについて解析をおこなった。(1) RGPとその受容体との相互作用: モミジガイの放射神経からRNA-seqデータベースを作成し、RGPオーソログを検索した。cDNAから予想されるモミジガイRGP (AscRGP)はB鎖のC末がアミド化されている可能性があった。そこで、モミジガイ放射神経に含まれるRGPを解析したところB鎖のC末がアミド化されている可能性を示した。次に、アミド化されたAscRGP-NH2とアミド化されていないAscRGP-GRを化学合成し、モミジガイ卵巣片を用いて放卵活性を測定した。どちらも同様に放卵活性を示したことから、RGP分子のB鎖のC末アミド化は受容体との相互作用に影響を与えないことが示唆された。(2) 放卵(放精)のメカニズム: RGPは主に放射神経や周口神経に存在する。これまでにin situ hybridizationの結果から、RGPは放射神経の外側上皮細胞で合成していることが示されている。今回、RGPの特異抗体を用いて免疫組織化学染色により観察を行ったところ、RGPは放射神経内部の神経線維に分布していることが明らかになった。このことは、RGPは放射神経外側の上皮細胞で合成された後、神経内部の神経線維に移動し、蓄積されることを示唆する。一方、RGPは生殖巣に近い生殖管にも存在することが示された。このことから、繁殖期には、生殖管周辺から分泌されたRGPが卵巣あるいは精巣を直接作用して放卵・放精を引き起こしている可能性がある。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Zoological Science
巻: 40 ページ: -
10.2108/zs220058
General and Comparative Endocrinology
巻: 334 ページ: 114226~114226
10.1016/j.ygcen.2023.114226
巻: 328 ページ: 114107~114107
10.1016/j.ygcen.2022.114107
https://researchmap.jp/bio_mita