研究実績の概要 |
真核生物の繊毛軸糸を構成するダブレット微小管およびその鋳型となる中心子のトリプレット微小管は、細胞内に一般的に見られる細胞質微小管と、構造、結合タンパク質、安定性などが異なる。本研究では、不明な点が多く残るこの特徴的なトリプレット微小管の構築機構解明を目指し、我々が以前単離したトリプレット微小管形成に関連する複数のクラミドモナス突然変異株を用い、各変異株の変異遺伝子間の遺伝的相互作用を解析する。本年度は以下のように研究を進めた。 1)γ-tubulinについて これまでのγ-tubulin突然変異株bld13を用いた解析によって得られた結果から、1)これまでγ-tubulinが細胞質微小管形成に働くことは広く知られていたが、細胞質微小管だけでなく、トリプレット微小管の形成・安定化にも機能すること、2) γ-tubulinはトリプレット微小管のproximal側で働くことが示唆された。本年度はこの知見を論文としてまとめ、投稿準備を行なった。 2)トリプレット関連多重変異株の解析 これまで、bld13やその他トリプレット関連タンパク質Poc1、SAS-4のそれぞれの新規突然変異株であるpoc1, bld14を用い、多重変異株の作成と表現型解析を進めており、本年度は各変異株の変異遺伝子産物である中心子タンパク質に特異的な抗体の作製を試みたが、局在解析などにたえうる特異的な抗体を得ることができなかった。
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