Ci-LFは、申請者らによるホヤ中枢神経のpeptidomics解析で同定した、C末にLeu-Pheを共通配列として有する新規ペプチドである。これらは8種存在し、全て一つの前駆体から生成される。また、ペプチドとGPCR相互作用をする機械学習予測器を開発し、これを用いて各Ci-LFの特異的受容体も決定した。その中の一つ、Ci-LF8の受容体は、他のCi-LF受容体と異なり、卵巣で多く発現していること、特に、ホヤのstage-I後期(前卵黄形成期)で強く発現していることをRNA-seq解析で突き止めた。これらの結果は、Ci-LF8がこれまで不明だったstage-I後期のホヤ卵胞成長の制御に重要な役割を果たしていることを示唆していることから、CiLF8の卵巣における機能を解明することを構想した。これまでに、Ci-LF8の受容体、Ci-LF8-RがStage-I(前卵黄形成期)の卵細胞に局在すること、および、RNA-seqを行い、Ci-LF8未処理のものと処理したものの間で卵巣における発現が変動している遺伝子群を検出した。また、Ci-LF8-Rのゲノム編集体の作製を続行している。本年度は、これらの遺伝子の発現をリアルタイムPCRで確認し、それらのアノテーションを行い、GO解析によって、これらが細胞増殖、分化に関与する遺伝子であることを明らかにした。これらの結果から、Ci-LF8は、Stage-Iの卵細胞に作用し、それらの成長に関与することが示唆された。
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