研究課題/領域番号 |
19K06756
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
津田 佐知子 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (80736786)
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研究分担者 |
平田 豊 中部大学, 工学部, 教授 (30329669)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小脳神経回路 / ゼブラフィッシュ / 膜電位イメージング / カルシウムイメージング / 眼球運動 |
研究実績の概要 |
令和元年度には、ゼブラフィッシュ稚魚をもちいた小脳全域での神経活動計測・解析、計測データの統計解析、および、新規膜電位センサー(Genetically encoded voltage indicator, GEVI)を用いたゼブラフィッシュにおける膜電位イメージングを行った。
まず、神経活動計測・解析について、小脳全域でのプルキンエ細胞のカルシウムイメージングを行動実験(眼球運動)と組み合わせて実施した。時空間データ解析などにより、プルキンエ細胞が異なる生理学的性質(活動パターン、機能)をもつ複数の集団からなることを明らかにし、その3次元分布を同定した。その過程で、プルキンエ細胞がなすクラスター構造を見出した。同様の結果が、計測データの相関分析、階層的クラスタリング解析などにおいても得られた。また、プルキンエ細胞の1細胞標識および3次元マッピングにより、ゼブラフィッシュ小脳におけるプルキンエ細胞などの解剖学的特徴を明らかにした。さらに、膜電位イメージングについて、高感度・高速のGEVIであるArcLightのゼブラフィッシュへの導入を行った。まず、transient発現系によりArcLightがゼブラフィッシュ脳において細胞膜に局在することを確認した上で、UAS-ArcLightのトランスジェニック系統を作製した。次に、ニューロン特異的にArcLightを発現する個体を用い、脊髄における高速膜電位イメージングを行った結果、脊髄ニューロンの自発的な活動を、1ショット、1細胞レベルで詳細に検出することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行動実験と組み合せた小脳神経活動の光計測と、その時系列解析、新規Genetically encoded voltage indicatorをゼブラフィッシュに導入した膜電位イメージングなど、問題なく進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに作成した光計測・解析系を用いて、小脳に見られたプルキンエ細胞クラスターの神経基盤と機能、そして学習等における変化の様子を明らかにする。また、新規GEVIをゼブラフィッシュの小脳ニューロン特異的に発現させ、その活動状態を詳細に計測する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計上していた備品について予定より低価格で入手することができたため。
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