多くの昆虫は天空の偏光パターンから方向を検出する。これまでに、脳の中心複合体における偏光情報の符号化やオプティックフローとの統合が示されているが、実際のナビゲーション中に行動が制御されるしくみには未解明な点が多い。本研究では、神経行動学のモデル生物であるコオロギを用い、偏光定位行動と脳内神経活動の関係を直接的に解析できる実験系を構築し方向決定の脳内機構に迫ることを目的とした。コオロギは、アリーナでの場所学習実験とトレッドミルを用いた偏光定位罰条件付けのどちらにおいても、偏光のe-ベクトル方向に基づいたナビゲーションを示した。現在、偏光定位学習の成立過程における脳内神経活動の解析をすすめている。
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