現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、網膜の視細胞によって異なる7種類のニューロペプチド遺伝子(MIP-1, MIP-2, FxRIamide, PP2, PP3, prohormone-4, enterin)を発現していることを明らかにした。それぞれに対する抗体に関しては、prohormone-4以外については作成することができた。prohormone-4に対するポリクローナル抗体は、現在作成の途中である。ただ、これら以外の神経伝達物質が使われている可能性についても現在検討を続けており、特にメインの視細胞(Type-I視細胞)で使われている神経伝達物質が依然として未同定の状態である。また、既に近縁種では報告があるものの、Type-I視細胞とType-II視細胞の形態について、本研究で用いているナメクジ種(Limax valentianus)についても電子顕微鏡で確認する作業も行っているところである。 一方、脳へ向けた視神経の投射経路に関しては、脳内でオプシンを発現するニューロンとの間でのシナプスレベルでの相互作用(電気シナプス等)が存在することを示唆する組織学的データを取得し始めている。無脊椎動物のギャップ結合は、哺乳類用に開発されたトレーサー分子とは異なる透過特性を持つため、トレーサー分子の使い分けが今後の課題となりそうである。また、脳内光感知機構との相互作用を知るために、細胞内記録用の電気生理学システムの立ち上げを始めている。小さなニューロンの細胞体からの細胞内記録についてはまだ再現性良く行うことができていないが、大きな細胞からは記録が可能になってきている。
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