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2021 年度 実績報告書

恐怖情動時の生理応答変化を担う神経回路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K06773
研究機関関西医科大学

研究代表者

松尾 朋彦  関西医科大学, 医学部, 研究員 (90641754)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード神経科学 / 嗅覚 / 恐怖情動
研究実績の概要

恐怖情動はヒトや動物の行動・生理応答を変化させることで生命を保護し、危機的状況下における生存確率を高めていると考えられる。本研究では、恐怖情動に伴う生理応答や生命を保護する機能を明らかにし、これら応答の作用機序の解明を試みた。
これまでの研究から、マウス天敵臭の構造類似体であるチアゾリン類恐怖臭は、マウスの先天的恐怖行動を強力に誘発できることがわかっていた。今回本研究において、チアゾリン類恐怖臭に暴露されたマウスでは行動変化だけではなく、体温・心拍数・代謝レベルが低下し冬眠様の状態が誘発すること、さらに低酸素環境下における生存時間の延長、敗血症モデルにおける抗炎症作用、虚血再灌流障害への耐性も獲得できるなど、危機的状況下における生体を保護する作用が誘発されることを明らかにすることができた。また、これらの生理応答変化、生体保護作用の多くが惹起されるためには、チアゾリン類恐怖臭の受容体であるTransient Receptor Potential Ankyrin 1 (TRPA1)が重要な役割を果たすことをtrpa1ノックアウトマウスを用いた解析から明らかにした。さらに、TRPA1を発現する三叉神経・迷走神経、その下流に位置する脳幹の孤束核および中脳の腕傍核へと繋がる脳内神経回路がこれらの現象を制御していることもわかってきた。最後に、TRPA1およびこれら脳内の神経核を活性化させる化合物を探索したところ、低酸素環境下における生存時間を著しく延長させる化合物を同定することにも成功した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Energy‐sparing by 2‐methyl‐2‐thiazoline protects heart from ischaemia/reperfusion injury2021

    • 著者名/発表者名
      Nishi Masahiro、Ogata Takehiro、Kobayakawa Ko、Kobayakawa Reiko、Matsuo Tomohiko、Cannistraci Carlo Vittorio、Tomita Shinya、Taminishi Shunta、Suga Takaomi、Kitani Tomoya、Higuchi Yusuke、Sakamoto Akira、Tsuji Yumika、Soga Tomoyoshi、Matoba Satoaki
    • 雑誌名

      ESC Heart Failure

      巻: 9 ページ: 428~441

    • DOI

      10.1002/ehf2.13732

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] チアゾリン類恐怖臭が誘発する生体保護作用とその作用機序解析 Molecular and neural mechanism of life-protective effects induced by thiazoline-related innate fear odors in mice2021

    • 著者名/発表者名
      松尾 朋彦、伊早坂 智子、小早川 令子、小早川 高
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会/CJK第1回国際会議
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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