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2019 年度 実施状況報告書

連続的に分布する生物の集団遺伝学

研究課題

研究課題/領域番号 19K06782
研究機関九州大学

研究代表者

手島 康介  九州大学, 理学研究院, 准教授 (20447593)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード遺伝的変異 / シミュレーション / 空間構造 / 集団遺伝
研究実績の概要

空間的に広く分布する生物種の遺伝的動態を予測するためのシミュレーションシステムの開発を行った。従来の集団遺伝学にでは、比較的少数の任意交配集団の組み合わせで集団の構造と集団動態を近似するという、いわば離散集団モデルに基づく考察が主流であった。それに対し本研究では従来のモデリングとは異なり、空間上に格子状に存在する仮想的小集団の結びつきで集団動態を表現する、いわば連続空間集団モデルを導入した。実装としては空間を多数の格子状に区切り、多数の小集団が周辺の小集団とゆるい結びつきを持っている状態を想定する連続近似を行った。各小集団にはそれぞれの仮想的環境に応じた個体が存在し、遺伝物質を保有する。単位時間ごとに各遺伝物質は変異・伝達・周辺集団との移住を繰り返す状態を実装した。
これまでに空間構造、変異、移住などの要因を考慮したシステムの構築まで完了した。これらのパラメータは空間ごとの違い、時間ごとの違いを考慮することができ、かなり柔軟な状況のシミュレーションに対応できる。しかしながら現段階では実行速度がそれほど速くないため、今後は速度の改善や、ワークステーション上における並列化などを通して大規模解析に耐えられる仕様に作り上げていく必要がある。この問題に関しては、スクリプティング言語からコンパイルを行う言語へ変更することにより、将来的に達成可能であると見込まれる。今後さらに組換えの効果を導入したのち、計算効率の向上を目論む。そしてこのシステムを用いた遺伝的変異の量とパターンの作出を行う

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究ではまずは新たな連続集団モデルを計算するためのシステムを構築する必要がある。シミュレーションシステムの概要が出来上がりつつある。したがってこの点においては、想定どおりに進んでいると判断していい。今後、このシステムのさらなる改善や、様々なシナリオを想定して変異量の計算を行う

今後の研究の推進方策

シミュレーションシステムを稼働させ、変異パターンの計算を行う。
(1)まずは従来の比較的少数の集団から構成されるモデルとの対比を行い、離散集団モデルと連続集団モデルの間で変わらない点と変わる点を明らかにする。
(2)さらに集団密度、移住パターン、ローカルな適応などの効果を組み込んだ計算を行い、それぞれの要因の影響を可視化する。

次年度使用額が生じた理由

当初旅費や謝金に計上していた額を次年度に回し、今年度は主に物品に充てた。次年度と合わせて当初計画と整合性が取れる予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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