生物は広がりを持った空間に生息し、その距離に応じて交流を保ちつつ、遺伝的多様性を保持している。現在の集団遺伝学的解析では、本来は連続的に分布している生物集団を離散的な集団の組み合わせに近似して解析しているが、この方法は現実を適切に把握できているのだろうか。本研究ではシミュレーションを用いた解析を実行し、問題点とその対策について研究を進めた。その結果、集団構造の測定及び統一的な解釈のためには特定の統計量の組を使う必要があることを示した。さらにデータの種類にも留意する必要がある。タイピングデータを用いた場合は不可避的に情報が歪むが、マーカーの作成方法を適切に行うことでこの影響を抑えることができる。
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