him-18/SLX4のサプレッサー変異は国内外でも同定されておらず、候補が6-7遺伝子に絞り込まれたことは意義のある成果といえる。今後の展望としては、候補遺伝子を一つに絞り込み、患者の細胞を用いてファンコニ貧血治療への応用を探る事になる。 交差分布の制御機構に関して、制限酵素処理を省く事ができる実験系を確立でき、大幅な手間と時間の短縮に貢献した。him-17変異体では、ヒストンH3K9のジメチル化が減少し、DNA二重鎖切断の染色体腕部への偏りが解除された。結果として交差分布が染色体中央にシフトした事は、染色体のエピジェネティックな変化が交差分布に影響を与えうる事を示したと言える。
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