褐虫藻(Symbiodiniaceae科に属する単細胞の渦鞭毛藻)はサンゴ共生藻とも呼ばれ、造礁サンゴなどの刺胞動物と細胞内矯正を営み、熱帯から温帯にかけての貧栄養海域における一次生産者として重要な生態学的役割を果たしている。本研究では、この褐虫藻における環境ストレス応答を遺伝子発現レベルで明らかにし、これらの遺伝子群に着目した細胞生理学的解析により、これまで報告されていたものと異なる、糖分泌に関わる新たな経路の存在を示した。また、褐虫藻の生理作用が宿主に与える影響を多面的に解析し、宿主の生活環を通した共生開始から成立と維持に関わる生態学的要因を明らかにした。
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