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2020 年度 実施状況報告書

円口類胚を用いた脊椎動物頭部骨格筋の進化的起源の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K06787
研究機関福井大学

研究代表者

尾内 隆行  福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (20617279)

研究分担者 菅原 文昭  兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (00611005)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード分節性 / 頭部形態進化 / 電子顕微鏡 / 円口類
研究実績の概要

本年度は、ヤツメウナギ頭部骨格筋の材料となる頭部中胚葉の定量解析および電子顕微鏡を用いた超微細構造の解析を進めた. その結果、頭部中胚葉独自の形態形成機構のダイナミクスが鮮明となった. またmandibular, hyoid head mesodermにおいて、特徴的な構造であるロゼッタパターンを複数発見した.このロゼッタは、これまで体節においてのみ観察されてきたが、頭部中胚葉のロゼッタは、体節とは全く異なる遺伝的素性を持ち、形態的にも異なることから、新しい分類群として現在のところ解釈している.
このような中胚葉は、脊索動物であるナメクジウオ の発生過程では見られないことから、脊椎動物において進化した形質であると考えられた. このことを検証するために、初期新口動物の形態を保持していると考えられる半索動物ギボシムシ を用い、中胚葉パターニング機構を調べた. その結果、ギボシムシ の中胚葉形成機構は、ナメクジウオ によく似ていることから、脊椎動物の中胚葉形成機構は新規形質であることが示唆された.
これらの研究結果は、頭部中胚葉の進化に関しては、1902年に出版されたコルゾフの頭部分節理論を覆す内容となり、体節の進化という観点では、1989年に出版されたマスターマンの体腔理論を覆す結果となった.
以上まとめると、脊椎動物の頭部は、その中胚葉の特異性を持って独自に進化した新しい形態であることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

全く予期していなかった頭部中胚葉ロゼッタ形態の発見により、当初では想像していなかった脊椎動物の進化の過程が分かりつつある. 電子顕微鏡での観察は、予想を上回る結果を生み、最新技術である3D電顕の研究もAbisのサポートのもと進行している.

今後の研究の推進方策

現在まとめている論文を出版することを全力で行う. また3D電顕による頭部中胚葉のさらなる解析を実現することで、これまでにない解像度で初期脊椎動物の進化を解明する.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染拡大に伴い学会参加、資料収集・打合せが中止となったため次年度使用額が生じた。繰越金は次年度の試薬・消耗品購入費や旅費等に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 超微細構造解析によるヤツメウナギ頭部中胚葉における分節要素の探索2020

    • 著者名/発表者名
      尾内 隆行
    • 学会等名
      日本発生生物学会
  • [学会発表] 頭部分節問題:円口類頭部中胚葉ダイナミクスからの洞察2020

    • 著者名/発表者名
      尾内 隆行
    • 学会等名
      日本分子生物学会

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公開日: 2021-12-27  

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