魚類は側線系とよばれる感覚器官によって水流を感知できる.本研究は,スズキ系魚類においてひろく側線系(特にの表在感丘の配置と,その神経支配)を観察し,(1)スズキ系魚類における非派生的な感丘の配置の推定,(2)神経の分岐パターンに基づいて分類群間における感丘要素の相同性を判断,(3)尾鰭における側線系の形態的多様性の解明,(4)側線系の種間差が体サイズ差に起因する場合があると提示,(5)無数の感丘から構成される特化的な側線系の意義を機能形態学的側面から議論できた.これらの成果は,従来知られていなかった側線系の形態的多様性の一端を明示し,それは各々の生態的・系統的背景に起因すると示唆する.
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