本研究は、単純な体構造を持ち扱いやすい線虫を用い、その宿主探索「宿主の匂いと振動の受容」の詳細を明らかにすることを目的とした。本研究の結果、宿主の匂いを受容する受容体の候補が絞られ、野外の同所的に生息する複数の線虫種において、宿主の匂いを受容する線虫種の方が、受容しない線虫種より効率よく宿主に運搬されることが明らかとなった。さらに、振動は線虫の全身の体表に存在する受容体により受容され、特に宿主となる節足動物が発する振動域付近の振動に線虫が敏感に反応することが明らかとなった。また、振動受容は宿主探索だけでなく、大型動物の踏み付けからの回避にも役立っていることが示唆された。
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