研究課題/領域番号 |
19K06813
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
仲田 崇志 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 非常勤教員 (10548994)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 藻類 / 緑藻 / 分類 / 進化 / 学名 |
研究実績の概要 |
本研究では,単細胞性藻類の中でも,淡水から汽水・海水・海氷に広く分布するミクログレナ属を対象に,藻類の生息可能環境や至適環境の実態とその進化過程の解明を目指している。 2019年度には,主に顕微鏡観察に基づく培養株の特徴付け,異なる塩分濃度における増殖の比較,いくつかの遺伝子配列の解読に基づく分子系統解析などを行う予定であったが,研究代表者が研究拠点を移す際に,関連する培養株を全損し,また現在の研究室の立ち上げ作業と本研究を進めるために必要な研究環境の整備を進めた。 一方,多様な環境に生息する藻類はミクログレナ属以外にも存在するため,実験研究の準備を進める一方で,実験を伴わない研究を並行してすすめた。特にミクログレナ属が以前に属していたクラミドモナス属のいくつかの培養株が,新種を含んでおり,またクラミドモナス属とは異なる新属を形成することが筑波大学との共同研究にて判明したため,論文投稿と査読を受けた修正を進め,Phytotaxa誌に論文が2019年12月11日付で受理された。本論文は2020年2月5日付で掲載された。 ところが,同じ属を新属とする論文が他のグループによって European Journal of Phycology 誌に2019年12月11日付で発表されており,Phytotaxa誌で発表された学名の一部に訂正が必要であることが明らかとなった。そこで研究代表者は共同研究者と共に両研究で発表された種の遺伝子情報を比較し,両者で重複する分類群と,独自に発表された分類群を整理すると共に,正しい学名の整理を行い,その成果について Phytotaxa 誌に論文を投稿した(なお,投稿論文は2020年6月9日に受理された)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が研究拠点を移す際に,連絡ミスによって使用する予定だった培養株が処分されてしまった。また移動先の研究室において,研究室の立ち上げ作業の間,本研究に向けた備品の設置を進めることができなかった。また設備の設置は2020年の 2 月までに進められたが,世界的な COVID-19 の流行により培養株の再購入が滞り,培養に基づく実験を開始するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現時点での研究の遅れを取り戻すため,未同定の培養株の研究についての詳細な研究,特に電子顕微鏡観察については省き,増殖の比較に重点を置いた研究を進めるものとする。培養株については COVID-19 の流行によって入手できないものも存在するため,すでに配布を再開している国立環境研究所などから入手できる培養株を優先的に購入し,これらに基づいた実験を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実施計画からの遅れにより,実験に使用する消耗品の購入および学会発表が減ったことと,これに合わせて COVID-19 の流行により培養株の購入が遅れたことが主たる原因である。これらについては流行の終息後に順次実施する予定である。
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