研究実績の概要 |
最終年度も新型コロナ感染症の蔓延により、海外への渡航は困難であったため、国内の標本調査に切り替えた。愛媛大学総合博物館に所蔵される海浜性甲虫類の調査を行い、ガムシ科、ゴミムシダマシ科、エンマムシ科について、種レベルまでの同定を行い、標本のラベルデータを読み取った。また、これまでの研究期間中に野外で採集したサンプルの標本作製と種同定を継続し行った。それらの調査結果は、日本甲虫学会誌Elytra, new seriesに2本の論文として(受理ずみを含む)、日本語でのレビューとして「昆虫と自然」に1本を発表した。またカナダでの北米昆虫関連学会で発表を行った。 研究期間全体を通して、海外での海浜性甲虫の調査1回(北米西海岸:カルフォルニア北緯37度からオレゴン44度まで)、国内の北海道浜厚真(北緯42度)、仙台(38度)、高知(32度)におけるコドラート区分による海浜性甲虫調査、のべ28回を行った。これらの調査で採集された海浜性甲虫類は約8割が種まで同定され、季節別、前浜から後浜への微環境別、海藻・木片・海浜植物の打ち上げ物・植生の区分別に分類され、データ整理を行った。これらの結果は、アジアと北米の海浜性甲虫群集の比較を可能にする基本データとなった。またこれらの調査結果の一部を、学会発表2回、国際誌1本、国内誌4本(受理を含む)に発表した。 以上、コロナにより調査計画の変更を余儀なくされたが、当初の目的の基本データの集積においてはアジア側を充実させることができた。しかしアジア・北米の比較が十分にできなかったことから、達成度6割と自己評価した。
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