研究課題/領域番号 |
19K06824
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三田 敏治 九州大学, 農学研究院, 助教 (90581851)
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研究分担者 |
細石 真吾 九州大学, 熱帯農学研究センター, 助教 (80571273)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ハチ目 / 東洋区 / 種多様性 |
研究実績の概要 |
海外調査 海外の野外調査や博物館標本調査について調整を進めていたが,COVID-19の影響のため中止した. 寄主卵と成虫形態の対応 日本産の短翅ナナフシヤドリバチ類であるナナフシヤドリバチNipponosega yamaneiを用いて,寄主卵の形態が寄生蜂成虫の形態に及ぼす影響を評価した.卵と成虫の各部位の相対的なサイズには対応がみられ,エダナナフシ卵からはyamanei型成虫が,トゲナナフシ卵からは本種のシノニムとされたkantoensis型成虫が羽化し,この変化は可塑的であることが明らかになった.ナナフシ卵寄生蜂には,このような寄主依存的な表現型多型が普通にみられると考えられるため,影響を受けやすい形態を考慮に入れて種の判別を行う必要がある. 天敵相 ナナフシ卵を利用する昆虫相を調べるため,福岡県西部でトレイルカメラを用いてナナフシ卵の設置調査を行った.卵に関わる昆虫の内訳をみると,蓋帽のないトゲナナフシに比べて蓋帽を持つエダナナフシで目立ってアリによる卵の持ち去り率が高かった.また,天敵相には季節性があり,直接的な捕食はコオロギ類中心に観察された. 系統関係 mDNA, 核DNA4領域を用いてセイボウ科の系統解析を行った.ナナフシ卵寄生者は一つのクレードを形成し,新大陸の属が最も基部に位置した.また,カブトバチ属はアジアのナナフシヤドリバチ亜科と姉妹群を構成した.アジアのナナフシヤドリバチ亜科ではさらに,性的二型が顕著なグループとその他で大きく2つのクレードが認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外調査が実施できなかったため,タイプ標本や海外を拠点としたフィールドワークでは計画通りに進めることができなかった.この状況はあらかじめ可能性に含めており,国内で実施できる内容に比重を置いて取り組んだため,結果的におおむね期待通りの進展がみられたものと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
海外の研究機関,カウンターパートの受け入れ再開がはじまっており,海外調査については安全を第一に実施する方向で調整を進めている.また,これまでの成果を順次論文にまとめ,発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
海外の標本調査,野外調査ができなかったため,使用額に変更が生じた.次年度に不足分の調査を実施する予定でいる. もし次年度も海外調査が十分進められない場合は,室内の実験の比重を高めるなどして研究計画が全体として達成できるよう,効果的に執行する.
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