研究課題/領域番号 |
19K06827
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
土金 勇樹 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任研究員 (20434152)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ミカヅキモ / ゲノム量 / 染色体 / フローサイトメーター / 自殖 |
研究実績の概要 |
ヒメミカヅキモには、+型と-型の遺伝的に決定された性を持ち、両性の間で他殖するヘテロタリズム系統(以下、ヘテロ系統)が存在する。そして、形態的に区別できない生殖隔離した集団(交配群IIA、IIBなど)が複数知られている。また、1細胞由来のクローン細胞の間で接合子をつくり自殖するホモタリズム系統(以下、ホモ系統)が存在する。ヘテロ系統の交配群IIA、IIBに近縁なホモ系統がそれぞれ存在することから、これら生殖様式の進化はヒメミカヅキモにおいて独立に複数回起きていることが明らかになっている。しかし、どの様に生殖様式が変化するのか、その機構は不明であった。陸上植物では、染色体の倍数化により自殖化する例が知られている。本研究ではまず、ヒメミカヅキモの各系統におけるゲノム量を測定し。生殖様式と比較した。 ミカヅキモは細胞壁分解酵素を用いてプロトプラスト化することで核を取り出し、フローサイトメーターに通すことで、ゲノム量を測定した。その結果、生殖様式に特異的なゲノム量の増加は観察されなかったものの、ホモ系統において、部分的なゲノム量の増加、あるいは減少が起きていることが示唆された。同時に複数のホモ系統とヘテロ系統のゲノムシーケンスを行い、k-mer解析を行うことでゲノム量を推定したところ、フローサイトメーターによる測定値と相関があった。 今後も、ホモ系統におけるゲノム量の多様性が、自殖という生殖様式にどの様に関わるのか、染色体の観察を行うなどして明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度において、複数のホモ系統とヘテロ系統のゲノム量が明らかにした。また、ホモ系統とヘテロ系統のゲノムシーケンスにより、ゲノム構成における情報も得られつつあり、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度において、複数のホモ系統とヘテロ系統のゲノム量が明らかになった。このゲノム量と染色体数の関係を明らかにするために、染色体の観察を行う予定である。現在のところ、ゲノム量が少ない系統では共焦点レーザー顕微鏡の観察により、染色体の観察が可能であるが、ゲノム量の多いホモ系統では、解像度が足りず、数えることができない。今後は古典的な細胞生物学的な手法である押し潰し法により染色体の観察法を確立し、染色体標本の作成を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大防止による学会中止をはじめとした出張取り消しなどでにより、次年度使用額が生じた。次年度では感染拡大が落ち着き次第、出張に利用する。また、感染状況に応じて、研究計画を修正するなど、柔軟に対応したい。
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