小笠原諸島の海藻相の特殊性を解明するため、父島周辺と房総半島大原の両方で深所性海藻の採集と標本調査を実施し比較した。それぞれ約20種が得られ、大原沖からアオサ藻フジノハヅタ、褐藻オオノアナメ、紅藻カクレスジなど日本の海藻相区分における第III区を特徴付ける種が得られたのに対し、父島沖にはアオサ藻オトヒメミル(新称)、褐藻タマクシゲ、紅藻スジアリグサなど日本列島側と共通しない種が多数生育することが明らかになった。潮間帯からは褐藻オウギジガミグサ(新称)も日本新産として発見された。従来南西諸島とともに第IV区に置かれてきた小笠原諸島のために、第VI区の新設が必要であることが示唆された。
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