研究課題/領域番号 |
19K06836
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
土田 浩治 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00252122)
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研究分担者 |
岡本 朋子 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (50588150)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 原始的真社会性 / ワーカー産卵 / 親子判定 / ポリシング |
研究実績の概要 |
真社会性昆虫の大きな特徴の一つは、女王が産卵を独占し、ワーカーは卵や幼虫の世話を分担する繁殖分業である。社会性昆虫では、コロニーサイズが大きく(>>100)、女王とワーカーの形態分化が大きな高度な真社会性種と、コロニーサイズが比較的小さく(<100)、女王とワーカーの形態分化が認められない原始的な真社会性種に二分される。高度な真社会性種では、ワーカーの産卵は抑制されており、たとえ産卵したとしても他のワーカーや女王に食卵される(ポリシング)。その機構として、近年、女王のシグナルが重要である事が明らかとなっている。つまり、女王の産卵能力を示すシグナル(fertility signal)がワーカーによって感知され、それによってワーカー産卵が抑制されるのである(Van Oysaeyen et al. 2014; Van Zweden et al. 2014)。このシグナルは体表炭化水素(CHC)が担っており、ワーカーの産卵抑制効果を持っている。一方、原始的な真社会性種ではワーカー産卵が女王の優位行動で抑制され、優位行動とCHCには相関がある。しかし、フタモンアシナガバチでは、その制御が不十分であり、ワーカー由来のオス成虫が多数確認されている(Tsuchida et al. 2003)。 今回は、フタモンアシナガバチ10コロニーを室内で飼育して実験を行った。各巣の巣穴から卵を回収し、(1)nC27をワーカーの卵に塗布する、(2)他のコロニーからワーカー卵を移す、(3)他のコロニーから女王卵を移す、の3つの実験を行った。また、各コロニーの巣上の行動を記録し、どの個体が産卵したのか、と、どの個体が食卵したのかを記録した。これらの個体を実験終了後に回収し、DNAを回収した。また、回収した卵はアルコールで保存し、後日DNAを回収した。各個体からDNAを回収して、12遺伝子座について遺伝子型を決定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
循環器系の疾患を発症し、複数回の通院の必要が生じた結果、年度末には手術を受ける結果となった。幸い術後の経過は順調であるので、遅れを取り戻せる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
全ての個体と卵からDNA抽出を完了させたので、今後はマルチプレックス法を用いて12遺伝子座について遺伝子型を決定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
病気により実験が遅延した。今後のDNA実験で使用予定である学内の実験施設の使用料に助成金を充てる予定である。
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