一般に雄は多くの雌と交尾するほど多くの子供を残せるが、雌は複数の雄と交尾しても(父親が入れ替わるだけで)子供を増やすことはできない。しかし多くの動物で雌は複数の雄と交尾する。この「雌の多回交尾」の進化は行動生態学・進化生態学の重要な研究課題である。 本研究は従来あまり有効でないとみなされてきた両賭け(bet-hedging)仮説を、新しい理論的視点から再検討するものである。5年間の研究期間で雌を1から4匹の雄と交尾させ、卵の孵化率、特に繁殖失敗(全ての卵が孵化しないこと)が起こる率を比較したところ、配偶者数が多いほど失敗が起こらない(世代間幾何平均適応度が高い)ことが分かった。
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