多くのスナガニ類のオスは,ハサミをリズミカルに動かすwavingと呼ばれるディスプレイを行う.ただし,その起源や進化については不明な点が多い.一部の種では,オスがwavingでメスを巣穴に誘引し,巣穴内で交尾を行うなど,wavingは「求愛」の機能を持つ.我々は,『wavingは,巣穴を持たない個体(放浪個体)が一時的に他個体(巣穴個体)の巣穴に逃げ込む時に,ハサミの動きという視覚的刺激に誘引されたのが起源』との仮説の元に研究を続けて,チゴガニ・ハクセンシオマネキなどを用いた研究で,捕食圧の高い状況では,オスや未成熟なメスも,wavingに誘引されることを明らかにした.
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