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2020 年度 実施状況報告書

ハゼが海底につくる「ミステリーサークル」の適応的意義と形成ロジックの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K06847
研究機関千葉県立中央博物館

研究代表者

川瀬 裕司  千葉県立中央博物館, 分館海の博物館, 主任上席研究員 (10270620)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード繁殖生態 / 卵保護 / ハゼ科魚類 / 適応度 / 配偶者選択
研究実績の概要

申請者らは海底に精巧な円形幾何学模様の構造物(ミステリーサークル)をつくるフグを発見し,その生態や形成過程を解明して世界中のメディアで大きな話題になった.そのような中,フグとは全く別の分類群であるハゼ科で第2のミステリーサークルが発見されたのである.そこで本研究では,新たにミステリーサークルをつくることが発見されたトンガリハゼ属の1種-3 Oplopomos sp. 3 の繁殖行動を観察して,この放射状構造物の適応的意義と形成ロジックを解明することを目的とする.
沖縄県東部沿岸でスキューバ潜水によるトンガリハゼ属の1種-3のフィールド観察を実施する予定であったが,新型コロナウィルス感染防止対策のため全てキャンセルとなってしまった.このため,現地のダイバーに対象種の採集を依頼して入手し,千葉県立中央博物館分館海の博物館内で水槽飼育して行動観察を行った.
水槽内に生息地の海底から採取した砂を敷き,産卵基盤として二枚貝の貝殻を入れて飼育したところ,オスを単独で飼育しても貝殻を巣に利用してその周りに放射状の溝を形成するのが観察された.オスは貝殻の内側を上面にして利用するが,それを人為的に裏返すとオスは口を使って元に戻した.オスは貝殻に溜まった砂を鰭や口で完全に除去して内側表面を露出させるが,逆に砂をかけて貝殻を完全に砂中に埋めてしまうことも観察された.同じ水槽にオスを2尾入れて飼育すると全長の大きい個体が優位となり,もう1尾のオスに対して威嚇・攻撃を行い,優位な個体だけが貝殻を利用して巣を形成するのが観察された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

トンガリハゼ属の1種-3のフィールド調査を沖縄で実施する予定であったが,新型コロナウィルス感染防止対策のため全てキャンセルとなり,フィールド観察に基づく生態学的研究は全く進まなかった.

今後の研究の推進方策

昨年度に引き続き新型コロナウィルス感染対策の影響により,今年度もいつからフィールド調査を開始できるか全く目途が立たない状況である.
このため,当面はフィールド観察から水槽観察に切り替えて,トンガリハゼ属の1種-3の生態学的研究や,標本による成長・成熟に関する研究を進めていく予定である.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス蔓延防止対策のため,本研究でメインとなるトンガリハゼ属の一種のフィールド調査が全てキャンセルとなり,それに関わる支出が0となってしまった.
本年度も引き続きフィールド調査が難しいと思われるため,研究方法の一部を飼育観察に変更するなどして対応する予定である.

備考

魚の繁殖行動の謎を解き明かす https://tetraodon.jimdofree.com/
現在取り組んでいる研究プロジェクトや最新の研究成果を紹介

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公開日: 2021-12-27  

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