• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

単細胞生物におけるプログラム細胞死の進化に関する数理生態学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K06851
研究機関京都大学

研究代表者

山内 淳  京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40270904)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード移住モデル / 多種共存
研究実績の概要

2022年度には、本研究課題での理論解析に用いる移住モデル(colonization model)について、そこから派生した多種共存機構の問題に関して成果を取りまとめた。それらは、Yamauchi et al. (2023, Ecology and Evolution) と Yamauchi et al. (2023, Theoretical Population Biology) の2本の論文として出版された。
また、移住モデルのダイナミクスの特性について解析的な分析も進めており、その成果を論文として取りまとめて学術誌に投稿し、査読中である。先に出版した論文で、生物の幼生と移住先のサイトとの出会いの確率が多種の共存ダイナミクスに大きく影響することが、数値解析とシミュレーションにより明らかとなっている。すなわち出会いがマス・アクションのイベントとして起こる場合には平衡状態に収束するが、頻度依存的なイベントの場合には多種の割合が不規則に変動し続け、またその軌道は初期値に大きく依存する。その特性を、平衡状態近傍での線形近似とリヤプノフ関数を用いることで解析的に示し、そのメカニズムを明らかにすることに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

全体としては着実に成果を上げているが、以下の点で進捗が遅れ気味となっている。
まず、研究課題の単細胞生物の細胞死を解析するにあたって、その解析に用いている移住モデルの特性が実はこれまで十分に調べられておらず、そのモデルの性質そのものの解析に力を入れる結果となっている。さらに、移住モデルが生物群集の構造の解析に有効であることがわかり、それに関する研究を派生的に進めたことで本来の研究課題の対応が遅れている。またCOVID-19によって海外渡航や国際学会への参加が滞りがちになったことで、2回の研究期間の延長を行うなどの影響が出ている。
このような状況ではあるが、その中でも関連する研究成果の論文を出版するなど、全体としては着実に成果を上げている。

今後の研究の推進方策

派生的な研究が大きく進展したこともあって、研究期間中に本来の研究課題を十分に取りまとめることはできないかもしれないが、引き続き研究課題を進めるために努力してゆく。
また今年度には、これまでの取り組みの発信にも力を入れてゆく予定である。すでに韓国で開催される国際研究会への参加も予定しており、また国内の学会にも参加してこれまでの研究成果を発表してゆく。加えて、現在投稿中および執筆中の論文の公表に向けて取り組む。

次年度使用額が生じた理由

論文の出版が予定よりも遅れ、英文校閲料や出版料の支払い見込みが積み残されている。また、COVID-19の影響で国際学会への参加等が減ったため、次年度に国際学会等への参加を検討している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Competition model explains trends of long‐term fertilization in plant communities2023

    • 著者名/発表者名
      Yamauchi Atsushi、Ito Koichi、Shibasaki Shota
    • 雑誌名

      Ecology and Evolution

      巻: 13 ページ: ece3.9832

    • DOI

      10.1002/ece3.9832

  • [雑誌論文] Continuous irregular dynamics with multiple neutral trajectories permit species coexistence in competitive communities2023

    • 著者名/発表者名
      Yamauchi Atsushi、Ito Koichi、Shibasaki Shota、Namba Toshiyuki
    • 雑誌名

      Theoretical Population Biology

      巻: 149 ページ: 39~47

    • DOI

      10.1016/j.tpb.2022.12.003

  • [学会発表] 植物における血縁個体からの警告シグナルに対する感受性の進化に関する理論的研究2022

    • 著者名/発表者名
      山内淳, 髙林純示, 塩尻かおり, Karban R.
    • 学会等名
      日本数理生物学会
  • [学会発表] Resource allocation schedule under the tragedy of the commons in plants2022

    • 著者名/発表者名
      Kim B-M, Yamauchi A.
    • 学会等名
      日本数理生物学会
  • [学会発表] 柔軟な繁殖投資様式を考慮した資源収支モデルにおけるマスティング戦略2022

    • 著者名/発表者名
      仲畑了, 伊藤公一, 山内淳
    • 学会等名
      第69回日本生態学会大会
  • [学会発表] 労働分業の進化における集団サイズと血縁度の影響に関する理論的研究2022

    • 著者名/発表者名
      山内淳
    • 学会等名
      第41回日本動物行動学会大会
  • [学会発表] Evolution of sensitivity to warning cues from kin in plants with a structured population2022

    • 著者名/発表者名
      Yamauchi A, Takabayashi J, Shiojiri K, Karban R.
    • 学会等名
      British Ecological Society Annual Meeting 2022
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi