研究課題/領域番号 |
19K06852
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宇高 寛子 京都大学, 理学研究科, 助教 (60534609)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生活史 / ナメクジ / 在来種 / 外来種 / 分布 |
研究実績の概要 |
日本では過去に外来種が短期間に個体数を増やしたり、広い分布域を獲得したりする結果、種構成が変化した例がある。しかし、その要因は明らかになっていない。本研究課題は、広く日本に分布する在来種のナメクジMeghimatium bilineatumと戦後移入し日本全国に分布した外来種のチャコウラナメクジAmbigolimax valentianusの2種について生態を比較することにより、日本におけるナメクジ類の種構成の変化を引き起こす要因について明らかにすることを目的としている。 2019年度は主に在来種のナメクジを対象とし、本種の生活史を明らかにするために、定期的な野外個体の採集および、その生息環境の調査を計画していた。しかし、採集場所、および環境調査として想定していた箇所のかく乱により、多数の個体を継続的に確保することが困難となったため、一部の個体を実験室で飼育し、性成熟および産卵する条件の検討も行った。その結果、ナメクジはチャコウラナメクジ同様、日が短くなる秋に性成熟をしている可能性が示された。しかし、結論を得るための十分な個体数を確保できておらず、また、外見はナメクジに似ているが、成長すると別種のように見える個体が採集された。次年度はナメクジの生活史とその生息環境を明らかにするために、採集地点を増やし十分なデータを得るとともに、外部形態による同定が難しい場合はDNAによる同定を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた採集地の環境変化により、継続的に多数の個体を採集することが不可能となった。そのため、野外個体での生活史データに欠損が生じてしまい、研究が遅れ気味である。同様に生息環境のデータ収集についても再度実施する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
定期的に十分な数のナメクジを採集することができなかったため、複数のナメクジの採集場所を確保することにより、詳細な生活史がデータが得られるようにする。また、飼育条件により多数の卵を得ることができれば、それらを日長と温度が野外と同じ条件に置き、定期的に一部を解剖したり観察することで、生活史解明の補助的なデータとして得ることも試みる。 ナメクジによく似た別種が混ざることがあるので、外部形態やDNAによる同定を追加で行う必要がある。チャコウラナメクジについては、十分に採集場所を確保できているので、予定通り計画を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
生活史解明のために、採集個体はの生殖器官の切片作製を行う予定であったが、多数の個体を採集するに至らなかったため、物品費に余剰が生じた。また、出席予定であった学会が中止となり、旅費の継続的な飼育の補助の人員が確保できなかったが、次年度は採用予定である。
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