研究課題/領域番号 |
19K06855
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮崎 祐子 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20443583)
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研究分担者 |
丑丸 敦史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70399327)
井上 智美 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (80435578)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 環境依存的性決定 / 日長 / 花成 / ツユクサ |
研究実績の概要 |
本研究では、雄性両全性同株ケツユクサ(Commelina communis f. ciliata: ツユクサの一品種)を材料に、日長、土壌栄養環境、B1(花序の中で最初に咲く花)両性花の結実の有無がB2花(花序の中で2番目に咲く花)の性表現型に影響するメカニズムを総合的に明らかにすることを目的とした。 本年度は「生育環境の日長が異なる地域個体群(エコタイプ)は、B1両性花の結実後であってもB2花に両性花が誘導されるのに必要な暗期の長さが異なるよう適応しているか」「気温上昇によって秋の生育期が延長された場合、短日条件が花の両性化をもたらすことによって種子生産量が増加する可能性があるか 」という問いに答えるため、岩手県盛岡市、長野県上田市、兵庫県神戸市、愛媛県松山市より植物体および種子の採取を行った。採取した植物は岡山大学内施設および国立環境研究所内施設にて育成後に種子を採取し、保存した。保存した種子は低温湿層処理を行ったのちに25度で発芽・育成させ、以下の実験に用いた。 採取した系統を用いて、日長条件を変えて育成し、花成およびB2花に両性花が誘導される際の連続した暗期の長さについて、人工気象器を用いてエコタイプ毎に評価した。実験は現在継続中である。また、ケツユクサにはエコタイプ毎に染色体数が異なることが報告されているため、染色体数の確認を行った。その結果、兵庫県神戸市より採取した個体と長野県上田市より採取した個体は同様に2n=46であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は北海道稚内市および熊本県阿蘇市からもエコタイプの採取を行う予定であり、探索を試みたが採取できず、代替として岩手県盛岡市および愛媛県松山市より採取を行った。次年度は対象緯度範囲を広げて対象種の採取を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、B2花に両性花が誘導されるのに必要な暗期の長さが異なるよう各エコタイプが適応しているかを検証する実験を続ける。また、光周期性花成促進遺伝子が雌ずいおよび子房の発達を制御する可能性があるか、また、光周期性花成促進遺伝子の発現量は資源量やB1 両性花の状態による影響を受けるか、について検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末3月に開催される予定であった日本生態学会第67回全国大会が新型コロナウイルス感染症対策のために、現地(愛知県名古屋市)での開催が中止になったため、また、同様に3月に予定していたつくば市への出張も中止になったため、支出を予定していた旅費が大幅に使用されなかった。
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