研究課題/領域番号 |
19K06857
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
竹下 文雄 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (00723842)
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研究分担者 |
逸見 泰久 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 教授 (40304985)
松政 正俊 岩手医科大学, 教養教育センター, 教授 (50219474)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ハクセンシオマネキ / 妨害行動 / 配偶者選択 |
研究実績の概要 |
ハクセンシオマネキの低密度個体群(熊本県上天草市、小泊干潟)にて、野外で配偶者を探索するメスを追跡することにより、ペア形成に対する近隣オスによる妨害行動の影響を検討するための調査を実施した。探索メスが訪問した求愛オスの数は、平均5.8個体で、探索時間は平均11分程度であった。また最終的に選ばれたオスの巣穴周辺で生じた近隣オスによる妨害の回数は、平均0.5回であった。以前に取得した高密度個体群(上天草市、永浦干潟)のデータと比較すると、低密度個体群では、近隣個体による妨害頻度が著しく低下した。これらの結果は、当初の予測通り、近隣個体の妨害行動の頻度が密度依存的であることを示唆している。今後は撮影した映像データをさらに吟味して、妨害行動と関連するデータを抽出するとともに、同時に取得した密度や気温といった環境要因との関連性について統計解析を実施する予定である。 なお、小泊干潟・永浦干潟それぞれの干潟表面で活動する個体の密度を定量化するため、それぞれの干潟で10個のコドラートを設置し、各コドラートで5分間のビデオ撮影を行なった。現在これらの動画の解析を進めており、現段階では、当初の予測通り、永浦干潟に比べ小泊干潟で密度が低いという結果を得ている。 また本年度の調査の比較対象となる、高密度個体群(永浦干潟)での近隣オスによる妨害行動がメスの配偶相手の決定を遅延させることを記した論文を学術誌に投稿し、受理・掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低密度個体群での調査のため、高密度個体群のおよそ半分のデータしか得ることができなかった。ただしその原因は、研究代表者の所属先が変更したため、当初の予定よりも調査時間が減少したためである。それを加味するとおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
低密度個体群におけるデータは本研究の根幹を成すため、一部予定を変更して来年度も調査を継続しデータを追加する。また当初の予定よりも旅費の増加が見込まれるため、種間比較のための対象種を一部減らす予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が調査を実施できなかっため、その使用予定額を全額次年度に繰り越した。次年度は、予め請求していた旅費を加え、より広範な調査を実施する予定である。
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